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瞬報ノート

ダルダルイングリッシュとは?ピラメキーノの人気英語コーナーを徹底解説

Author

Sarah Richards

Updated on July 19, 2026

ダルダルイングリッシュ ピラメキーノ テレビ東京

「めんどうくさい」「やりたくない」「また今度ね」。そんな後ろ向きな言葉を、なぜか英語で学べてしまう。そんな一風変わった英語コーナーが、かつての日本のテレビを席巻した。その名もダルダルイングリッシュ。今でも「懐かしい」「あれで英語が好きになった」という声がSNS上に絶えない、ちょっと不思議な存在感を持つ番組コーナーだ。

ダルダルイングリッシュとは何か? その成り立ちと基本コンセプト

ダルダルイングリッシュは、テレビ東京の子ども向けバラエティ番組『ピラメキーノ』(月〜金・夕方6時30分〜)内の人気英語講座コーナーだ。タイトルに「ダルダル」と入っているとおり、その教育的アプローチは通常の英語番組とはまったく異なる方向性を持っている。

コーナーのテーマは、ずばり「めんどうくさい時に使う英語」。「めんどうくさい」「やりたくない」「明日にしよう」など、後ろ向きな言葉をわかりやすく教えてくれる。勉強への意欲を高める系の英語番組が多い中、このコーナーはまさに逆張り。子どもたちにとって「勉強させられている」という感覚がなく、むしろゲラゲラ笑いながら気づいたら英語フレーズを覚えていた、という体験を生み出した。

通常の英語講座とは異なり、「面倒くさい時に使う英語」を教えてくれるコーナーで、お笑いコンビ・フルーツポンチの村上が必死に声をかけるものの、ダルさんは常に何かを食べながら面倒くさそうに答えるコメディ仕立ての英語講座だ。このシュールなやり取りが、子どもだけでなく一緒に視聴していた大人にもウケた。

ダルさんとは何者か? 意外な素顔と多彩なキャリア

デイヴィッド・リッジス ダルさん 俳優

番組内でぐうたらに見えるダルさんの正体は、実は驚くほど経歴豊かな人物だ。デイヴィッド・リッジス(David Ridges、1965年5月17日生まれ)はイギリス出身のモデル・俳優で、英語、フランス語、スペイン語、日本語、ドイツ語の5ヶ国語を話せる。それだけでも十分すぎる経歴だが、彼の来日までの道のりもなかなかユニークだ。

イギリス出身で、1988年に22歳で来日する前から映画やテレビ番組に出演していた。家族環境も興味深い。母親と兄は大学の教師、祖父はイギリスの有名な高校の校長という教師の家庭である一方、父親のおじは多くのハリウッド映画に出演していた。アカデミックな血筋と芸能界の血筋が混ざり合った、なんとも複雑な背景の持ち主なのだ。

そして「ダルさん」というキャラクターについて、一点見逃せない事実がある。本人はイギリス出身であるが、「ダルさん」はアメリカ・ボストン出身の22歳という設定である。SNS上でも「ボストン出身って設定だったの!?」と後から知って驚く人が今も多い。

日本での活躍はピラメキーノにとどまらない。仮面ライダーキバへの出演、テレビ朝日の『ロト6で3億2千万当てた男』への出演、そして孤独のグルメ 2017お正月スペシャルでの料理人役など、バラエティに富んだ出演歴がある。どことなくルーズに見えるキャラクターを演じながら、実際は5ヶ国語をこなす多才な俳優。ダルダルイングリッシュの視聴者が大人になって調べて驚く「ダルさんの真実」の一つだ。

コーナーを支えたキャスト陣 フルーツポンチ・村上との絶妙な化学反応

ダルダルイングリッシュが単なる「変な英語コーナー」に終わらなかった理由の一つに、相方役としての村上(お笑いコンビ・フルーツポンチ)の存在がある。いつもだらだらして食べてばかりのダルさんと、村上先生が、めんどうくさい時に使える英語をわかりやすく教えてくれる構成で、「みんなもいっしょにだらだらしながら覚えよう!」というコンセプトが貫かれている。

ぼうっとしたダルさんに、テンションの高い村上が必死に英語フレーズを聞き出そうとする。この二者の間に生まれる温度差と緊張感が、コーナーのエンターテインメント性を支えていた。子どもにとっては「だらけているほうが先生」という逆転構造が新鮮で、親しみやすかった。

ダルダルイングリッシュが教えた英語フレーズ その実用性とは

ダルダルイングリッシュ 英語フレーズ 面白い

「I don't know.」「No way.」「Maybe sometime.」「I can't.」「It doesn't matter.」「Let's not.」——。ダルダルイングリッシュで紹介されたフレーズの数々は、「関係ないよ」「いやだ」「いつかきっと」「できないよ」「~するのはやめよう」といった、ネガティブ寄りの日常英語表現が並ぶ。

しかしこれ、笑って流すだけでは惜しい。実はこれらのフレーズは、すべてリアルな日常会話で頻繁に使われる地に足のついた表現ばかりだ。教科書には載りにくいが、ネイティブスピーカーとの会話では欠かせない「断り方」「かわし方」の言葉たち。ダルさんが伝えようとしていたのは、ある意味で「英語リアリズム」だったとも言える。

「Maybe sometime.(いつかね)」「I can't.(できないよ)」といった後ろ向きで努力することを拒否した言葉ばかりながら、ネット上では「ウチの兄貴、ダルダルイングリッシュ始まったら、すぐノートとペンケース用意するんだよ」と高評価する声もあった。これほどの熱量で英語フレーズを覚えさせた番組コーナーは、実は珍しい。

キッザニア東京にも進出 ダルダルイングリッシュの広がり

人気がピークを迎えると、コーナーはテレビ画面の外にも飛び出した。テレビ東京は、キッザニア東京(江東区豊洲)に出展するテレビ局パビリオン『ピラメキッザニア』を2012年3月1日からリニューアルし、新コーナー「だるだるイングリッシュ」をスタートさせた。

キッザニア版にも、番組で人気のダルさんがビデオで参加。ビデオやパネルを使って進行する楽しいコーナーとなっており、子どもたちに番組制作体験の場を提供した。英語を学ぶというより「ダルさんと一緒に何かを体験する」感覚で、子どもたちが夢中になったのは想像に難くない。

さらに、ピラメキーノのDVDにも「だるだるイングリッシュ・まんぷくベスト」として収録され、はんにゃやフルーツポンチなどの出演者たちのダルさんを尾行する特典映像まで収録された。テレビコーナーにDVD、体験型施設への展開——子ども向けコンテンツとしての完成度の高さを感じさせる。

SNSで再注目 2020年代の懐かしブームとその理由

ダルダルイングリッシュ 懐かしい SNS TikTok

当時小学生だった世代が20代〜30代になった今、ダルダルイングリッシュへの関心が再燃している。TikTokやThreadsには、「小学生の時に見てたダルダルイングリッシュのダルさんが23歳だったことに驚きを隠せない」といった投稿が拡散し、次々と当時の記憶が掘り起こされている。

TikTok上では「ダルだるイングリッシュをみんなで楽しんで英語を学ぼう!今日もアイドルと一緒に楽しく覚えます」というタグとともに動画が投稿され続けており、世代を超えた支持を集めていることがわかる。ピラメキーノ自体は終了しているが、ダルダルイングリッシュのコンテンツはいまだにSNSコミュニティで生きている。

なぜここまで根強いのか。理由は単純かもしれない。「ちゃんと勉強しよう」という圧力がなかったからだ。笑えて、ゆるくて、でも本物の英語が学べる——その絶妙なバランスが、記憶に刻まれやすい体験を作り出した。真剣な英語学習番組よりも、かえって定着率が高かった可能性すら否定できない。

ダルダルイングリッシュから学べること 英語教育の視点から考える

教育心理学的な観点から見ても、ダルダルイングリッシュのアプローチはなかなか理にかなっている。人は「楽しい」「笑える」「意外だ」という感情が伴うとき、情報をより深く記憶に刻みやすい。これはエモーショナル・エンコーディングと呼ばれる概念だ。

英語学習の壁として必ず挙がるのが「恥ずかしさ」と「完璧主義」だ。うまく話さなければいけない、間違えてはいけない——こうしたプレッシャーが、英語を話すことへの拒否感を生む。だが「I can't.(できないよ)」「No way.(いやだ)」から英語を始めるダルダルイングリッシュのアプローチは、完璧主義とは真逆。失敗を笑い飛ばす雰囲気が、英語への心理的ハードルを下げてくれる。

ダルさんが体現したのは「英語ができなくても、使えばいい」というメッセージだったのかもしれない。テレビの向こうで食べながらぶつぶつ言うだけのキャラクターが、結果的に多くの子どもたちを英語に近づけた事実は、英語教育の常識への小さな反論として今も光っている。

ダルダルイングリッシュの遺産 日本のテレビ英語教育史に残した爪跡

日本の子ども向けテレビ英語教育を振り返ると、まじめな講座形式が主流だった時代が長い。だからこそ、ダルダルイングリッシュの登場は異質だった。当時の映像は今も「日本の学生向けの面白い英語講座」として海外にも認識されているほどで、その存在感は国内にとどまらない。

TikTokでは「小学生の時にめっちゃ見てたな」というハッシュタグとともに、「ダルダルイングリッシュで有名なダルさんの現在を紹介」した動画も注目を集めており、かつての視聴者たちが今も当時の記憶を大切にしていることが伝わってくる。

テレビ東京の一コーナーとして始まった「だるだるイングリッシュ」は、気づけばひとつの文化的記憶になっていた。ぐうたらなキャラクターが誰よりも英語を身近にした——それが、ダルダルイングリッシュという番組コーナーの、最も正直な評価ではないだろうか。

まとめ:ダルさんが残したもの

ダルダルイングリッシュは、単なる子ども向けテレビの一コーナーではなかった。英語を「難しいもの」「恥ずかしいもの」「義務」として感じさせない発想で作られ、結果として多くの視聴者の英語に対するイメージを変えた。ダルさんことデイヴィッド・リッジスは、5ヶ国語を話す実力者でありながら、あえてだらけたキャラクターを演じ切った。フルーツポンチ・村上との掛け合いは、英語をコメディにする化学反応を生み出した。そして今もSNSで語り継がれる懐かしさは、あのコーナーが残した確かな爪跡だ。英語学習に行き詰まったとき、「Maybe sometime.(いつかね)」とつぶやきながら、ダルさんのことを思い出してみるのもいいかもしれない。